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比較的堅牢なNiCdやNiMHバッテリーを使う場合には電流計測だけでも問題無かった事も多かったかもしれませんが、よりセンシティブであるLiPoバッテリーを使う場合、電圧も同時に測定する事が安全にハイパワーを得る為のキーポイントになってくると思います。
この事例でのLiPoバッテリーは既に何フライトか使用していますので、多少は劣化が起きています。
劣化しているバッテリーは充電直後の開放電圧は正常でも、ひとたび放電を開始すると電圧の落ち込みが正常時よりも激しくなります。
電流は、プロペラ負荷が小さくても低くなりますが、電源電圧が低くてもやはり低くなります。
電気の不変原理、オームの法則を思い出しましょう。
I = E ÷ R (I=電流、E=電圧、R=抵抗)
電流は電圧に比例して大きくなり、抵抗に反比例して小さくなります。
従ってバッテリーの電圧降下が激しい程、電流は少なくなります。
劣化していない新しいバッテリー、放電能力の高いバッテリーは放電時の電圧が高く、電流も増えます。
また、プロペラの負荷が小さい程、モーターの電気抵抗は高くなり電流は少なくなります。
プロペラの負荷が大きい程、モーターの電気抵抗は低くなり沢山の電流が流れます。
※実際のモーターでは電圧によっても電気抵抗値が変わります。 モーターではこの式はそのまま使えませんのでご注意を!
「プロペラ負荷が低い」、「バッテリーの電圧降下が激しい」 どちらが原因でも電流は落ち、飛行パワーも弱くなりますので、電流を測定しても実際に飛ばしてみても、どちらが原因かは良く判りません。
今回の事例、 2 で電流が思ったよりも低かったのは、負荷が低すぎる為ではなくて、LiPoが少し劣化していて放電時の電圧が低めだった為なのですが、電圧を測らなかった為にそれに気づく事ができず、負荷が低すぎるものだと勘違いし、3〜5 では更に負荷の高いプロペラに交換してしまっています。 結果、多少は劣化しているもののまだ使えたかもしれないLiPoに、自分で最後のとどめを刺してしまった訳です。
LiPoは使用していくに連れて段々と劣化していきます(放電時の電圧降下が激しくなってきます)。
私の使っているLiPoの中には、1年以上/100フライト近く使っているのにわずかしか劣化していないものもあれば、20フライト程度の使用でかなり劣化してしまったものもあります。
また、一度でも過放電や過電流放電、過充電や過電流充電を行ってしまいますと一気に劣化してしまいます。
更に現在のLiPo製品は性能の個体差もかなり有るようで、同じ製品の新品でも放電時の電圧が比較的高い物や低い物が混在して売られています。
個体や使用状況によって性能がバラバラなLiPoを上手く使いこなしていくには、電流測定よりも、むしろ電圧測定の方が確実かもしれません。もちろん回路全体を過電流にしないという事も重要ですので、理想は電圧と電流の同時測定ですが、これには電圧測定用のテスターと電流測定用のクランプメーター、2個同時に必用となります。
AstroFlight社のSuper Whatt Meter
ならばこれ1個で電圧と電流(更に電力と積算電流も)計測可能で便利です。
具体的には次の様な手順でLiPoの過負荷度を判断可能です。
| 準備するもの | |
| ・測定対象のLiPoバッテリー | |
| ・パワーユニット | (アンプ、モーター、プロペラを登載した機体) |
| ・電圧が測れるテスター | ![]() (それ程正確なものでなくても、0.01V単位くらいで計れるものであれば良いと思います。秋葉原では¥1,000くらいから、街の電気屋でも¥2,000〜3,000くらいで買えます。 私はテスター棒の代わりに直接バッテリー端子に接続できるコネクタをつけて使っています。2分岐アダプタを使えばそのままパワーユニットに接続できて便利です。) |
| あると便利なもの | |
| ・直流用クランプメーター |
(非接触タイプの直流電流計です。最低でも1万円くらいはします。数千円のものは交流専用ですので使えません。テスターにも回路を割って入れるタイプの電流計機能が付いている事が多いですが、最大電流が数百ミリAまでだったり、電流計の内部抵抗が大き過ぎたりで、ラジコン飛行機の電流測定には使えません。) 共立電気計器: クランプメーター(直流用), キューメイト2000/2001など |
| ・LiPoの表面温度を測れる温度計 | ![]() DURATRAX: 非接触温度計 FLASHPOINT は使いやすいです |
| ・Super Whatt Meter | ![]() (これがあれば電圧計とクランプメーターは不要です。 クランプメーター1個分よりも安いくらいの値段で買えます。 回路を割って入れるタイプの電流計ですが内部抵抗は正負合計で0.012Ωほど(実測値)ですので、ほとんどのラジコン用途に利用可能です。) |
1) 機体のパワーユニットに満タンのLiPoを接続します。 同時にテスターでLiPoの電圧も常に測れる状態にしておきます。

初期状態(スロットルオフ)で、LiPoは4.2V×セル数の電圧を示している事を確認します。

スロットルオフ
開放電圧(無負荷時の電圧)の確認
2セルパック: 8.3V〜8.4V
3セルパック: 12.5V〜12.6V
4セルパック: 16.6V〜16.8V
2) LiPoの暖機運転を行います。 スロットルを最スローから中スロー弱くらいに上げて、2〜3分かけてLiPoを徐々に暖めます。
暖機運転中はLiPoの電圧が3.3V×セル数を下回らないようにスロットルを調整して下さい。
特に冬場の屋外で行う場合には急にスロットルを上げてしまいますとLiPoを傷めますので注意して下さい。

スロットル弱〜中
暖気運転中の電圧の確認
2セルパック: 6.6V以上
3セルパック: 9.9V以上
4セルパック: 13.2V以上
3) LiPoが人肌以上に暖まった事を確認し、2〜3秒の間フルスロットルに上げてこの間のLiPoの電圧を確認します。
この時に電圧が3.0V×セル数を下回っていないかどうかチェックします。

フルスロットル(短時間)
フルスロットル時の電圧の確認
2セルパック: 6.0V以上
3セルパック: 9.0V以上
4セルパック: 12.0V以上
4) スロットルをオフにして30秒〜1分間、休憩させます。

スロットルオフ
もしLiPoの表面温度が50度以上になっている場合は少し熱すぎると思いますので、長めに休ませます、
5) 3)〜4)を数回繰り返します。
もしLiPoの表面温度が40度以下の場合はまだ本来のパワーが出ていませんので、LiPoが暖まるまで
3)〜4)を繰り返します。
もしLiPoが十分に暖まっている(40度以上)にも関わらず、フルスロットルにすると必ず 3.0V × セル数 よりも電圧が低くなってしまう場合、このセッティングはこのLiPoにとっては過負荷です。
例え流れている電流がLiPoのカタログスペック上の最大許容電流よりも低くても、電圧が 3.0V × セル数 以下にまで落ちてしまうならばこのLiPoにとっては過負荷なのです。
このまま飛ばしてしまいますと、恐らくそのうちにLiPoが傷んで膨らんでしまうと思います。
よりピッチかダイヤの小さなプロペラに交換するか、ギア比が変えられる場合にはギア比で負荷を軽くする、あるいはプロポのエンコンチャンネルのハイエンドを下げる(エンコンスティックをフルハイに上げてもフルスロットルにならないように調整する)等で、LiPoへの負荷を減らして下さい。

フルスロットル
フルスロットル時にここまで
電圧が落ちるならば、
LiPoにとっては過負荷2セルパック: 6.0V未満
3セルパック: 9.0V未満
4セルパック: 12.0V未満
もしフルスロットル時のLiPo電圧が3.3V×セル数よりも高く、かつ電流も同時計測しており、実際の電流がモーター・アンプ・LiPoの各最大許容電流、どれよりも低い場合には、よりピッチかダイヤの大きいプロペラに交換するか、あるいはギア比を変えてより負荷を高くしてパワーアップできます。

フルスロットル
LiPoにはまだ余裕あり
負荷を増やしてパワーアップ可能
(ただし負荷を増やす場合は
電流の制限にも注意する事)
2セルパック: 6.6V以上
3セルパック: 10.0V以上
4セルパック: 13.3V以上
私的には、フルスロットル時にLiPoの電圧が 3.15V〜 3.30V × セル数くらいになるセッティングが丁度良いと思います。
ただしこの値も飛ばし方や機体によって調整する必用があります。
例えば常時フルスロットルで飛ばす様な場合はもっと電圧が高くなるよう、軽めの負荷でなくてはいけませんし、逆にパワーを間欠的にしかかけないホットライナーやF5Bではもう少し電圧が落ちるところまで負荷を大きくしても大丈夫かもしれません。
また、セル数が多い程セルのアンバランスによる問題が起こりやすくなりますので、余裕を持たせてより高い電圧を保持できるよう、軽めの負荷にした方が賢明です。

フルスロットル
適正負荷・フルスロットル時のLiPo電圧
2セルパック: 6.3V〜6.6V
3セルパック: 9.5V〜9.9V
4セルパック: 12.7V〜13.2V
まとめ:
地上フルスロットル時の電圧で判るLiPoの過負荷状態
| 単セル |
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| 2セルパック |
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| 3セルパック |
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| 4セルパック |
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| LiPoの負荷 |
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注意: 飛行中に適切なスロットルワークでパワーを制御できる機体での例です。
常時フルスロットル近くで飛ばす様な場合は「余裕あり」あるいはそれ以上の電圧領域にセッティングしましょう。